【CGオリジナル制作】朝食 – breakfast

CG自主制作

お疲れさまです!ふかいまさやです!

今回は『朝食 – breakfast』という題でCGの静止画を制作し、複数のコンペにて受賞・入選をしていただきました。

  • CGWORLD「WHO’S NEXT?」2024年第2弾 背景・プロップ部門 第4位
  • ASIAGRAPH 2024 第一部門 CGアート作品公募部門 入選

 

こちらは僕がMayaというソフトではじめて制作した作品で、デジタルハリウッドの3ヶ月課題にもほとんど同じものを提出しました。

【投稿再開】デジタルハリウッドに入学します
お久しぶりです!ふかいまさやです!前回のブログ投稿が2022年12月10日ですか。サボって過ごす一年というのは早いものですね。そんな三ヶ月坊主な僕ですが、この4月からデジタルハリウッド 本科CG/VFX専攻に入学することになりました!今まで

個人的に出来栄えにかなり満足しています。相変わらず自己評価が甘いですね。

 

この記事では、制作物の紹介、制作過程、反省点を書いていきます。

制作過程すべてをただ見せても無駄に冗長になるので、メインのベーコンエッグの制作にフォーカスし、そのあとに全体の流れをざっと紹介する形でいきます。

また記事の内容は、制作のこだわりポイントが中心になります。

素人の僕がCGの作り方を紹介しても何の価値もないということに今さら気づいたのでした。

では、どうぞお手やわらかに。

制作物について

ギャラリー

WHO’S NEXT?応募 ver.

学生CGトライアル「WHO'S NEXT?」 2024年第2弾 背景・プロップ部門 結果発表! 優秀賞&審査員講評コメント一挙公開

ASIAGRAPH 応募 ver.

ASIAGRAPH
アジアグラフは世界の第一線で活躍するアジアの研究者とクリエイターが集い、先端技術の発表や作品の展示を行う、学術・芸術・展示が一体となった総合イベントです。

使用ツールや制作期間など

使用したツール・外部サイト

ゲームエンジンやBlenderは今回使用していません。

制作期間

  • 2024年4月18日~10月25日(約82日間)
スケジュール感
  • 企画
    • 約10日間
  • モデリング
    • 約11日間
  • シェーディング・テクスチャリング
    • 約12日間
  • ベーコンエッグ制作
    • 約7日間
  • データチェックや仮のレンダリング・コンポジット
    • 約2日間
  • ブラッシュアップ
    • 約40日間

制作にあたって意識したこと

このたびはフォトリアル、写実性を追求することにしました。

その中でも「臨場感」を大切にして制作しています。

そのものの状態としての対比を意識。

(熱いか冷たいか、濡れてるか乾いているか、綺麗かと汚れているか、匂いがあるか無いか、音があるか無いか、など)

動きのある絵にしたかったので、火の元近くて危ないですが、無理やりカーテンをこじつけたりもしました。

 

また、「この作品の良し悪しで就職が決まる」と超本気モードで取り組んでいます。

細部まで妥協せず、自分が今できることを全力で。

そうでないと、自分にいま足りないもの、本当の問題点が浮かび上がらないからです。

制作の過程[ベーコンエッグ]

メインに食べ物を選んだ理由

企画段階のラフ画1

今回の静止画でメインのモチーフに食べ物を選んだ理由はふたつです。

  • 食は動物共通の根源的な欲求なので、食べ物というモチーフはどんな人の印象にも残りやすいだろうと思ったから
  • 食べ物という難易度の高そうなCGモデリングに挑戦してみたかったから

そして料理のなかでも「調理中」という、出来上がる過程の様子に焦点を絞ってみようと考えました。

モデリング

まずはYouTubeの料理動画などを観察しながら大体の形状をモデリング。

Soft SelectionとSculpt Geometry Toolが活躍しました。

追加で作成したパンには、ZBrushも使用しています。

テクスチャリング

まずはざっと色塗り

ベーコンエッグのテクスチャリングを研究するため、大阪の実家に帰省し、実際に料理を複数回作りました。

卵の焼けるタイミングと、その時点で先にフライパンに入っているベーコンの焼け具合はどれくらいか。

そのほか、どこから焦げによる変化がはじまっていくかなど、かなり実物観察による収穫がありました。

一次情報に勝るものはないですね。

 

ベーコンの断面部分にはフリー画像を使用しています。いい素材をありがとう。

UnsplashのKG Baekが撮影した写真
KG Baekが撮影したこの写真をUnsplashでダウンロードする

 

目玉焼きは画像を使わず手描きで制作しましたが、そのテクスチャリングは実物よりも3Dアートを参考にしました。

「現実ではそうなってないけど、絵としてこう描いた方がリアルに見える」ということって往々にしてあるように感じます。

実物に囚われすぎず、そういった誇張表現を取り入れるように意識して描いていきました。

 

油の凹凸は、Mayaでひとつぶノーマルマップを作成し、それをSubstance Painterのブラシに適用。

位置、大小、強弱のジッターを増やしてランダムに生成していきます。

モデリングで凹凸をつけずにこちらの手法をとることで、なるべくデータを軽く、簡単に短時間で作成しようという意図があります。

シェーディング・シミュレーション

部分的に透明にしたりSSSを入れたり

シェーダーは基本的にすべてaiStandardSurface。

白黒情報のマスクを使って、局所的にTransparency(透明度)やSub-Surface Scattering(表面下散乱、半透明みたいな感じ)を入れていきます。

Fluid Effectsで蒸気を追加すると一気に温度感が出てテンションがあがりました。

 

また、Height情報はメインのベーコンエッグとコンロ下のタオルにだけ入れました。

ディスプレイスメントマップを使えば細かいディティールを出すことができますが、データが重くなるので一部のモデルだけに適用をとどめています。

制作の過程[全体の流れ]

企画

企画段階のラフ画2

まずは企画書を作成。

  • 誰に見てもらうのか?
  • どこで見てもらうのか?
  • 何のために見てもらうのか?
  • どう感じてほしいのか?

というメタ的な設定を明確にし、この静止画は「ライフスタイル雑誌の見開きに掲載するイメージ」で制作することに決めました。

着手するにあたって、もちろん『ハウルの動く城』を周回します。

モデリングにおける規格やサイズは、設定した国と時代のものを参考に統一。

細部を詰めていく前に、ラフ状態のモデルで大体の構図と陰影を確定させていきます。

モデリング

MASHという機能で多肉植物づくり

BlenderでできたあれをMayaでどうやるんだろうという発想で制作を進めていきました。

モデリングで意識したのは、細部まで詰めすぎないことです。

テクスチャのノーマルマップで細かい表現をした方がデータが軽くスピーディに進められるので。

全ての要素をモデリングしようとしないように心がけました。

 

またデータチェックも怠らず。

  • 不要なレイヤーがないか
  • 不要なオブジェクトがないか
  • 重複する頂点がないか
  • 多角形ポリゴンがないか
  • 不要なヒストリがないか
  • オブジェクトやマテリアルの名前は整理されているか

シェーディング・テクスチャリング

UVをまとめてデータを節約

主に以下のように進めることでなるべくデータを節約してテクスチャリング作業を進めました。

  • カメラから遠いモデルのUVはなるべく一つにまとめて、マスクで切り分けてテクスチャリングをする
  • 目立たないオブジェクトのシェーディングはアトリビュートエディタのパラメータ操作で済ませる
  • 奥に配置する植物などは、イラストや画像をアルファ抜きしたものをそのまま使用する

 

後ろの絵画に使用したフリー画像はこちら。

UnsplashのBirmingham Museums Trustが撮影した写真
Near Glarus, Switzerland, 1781 by John Warwick Smith – Birmingham Museums Trustが撮影したこの写真をUnsplashでダウンロードする

ライティング・コンポジット

AfterEffectsでの遠近ボケの調整は不採用

被写界深度の調整は最終的に、【Photoshopでボケありボケなしを重ねてマスク】するやり方に落ち着きました。

Arnoldでの被写界深度は高品質ですが、長い時間レンダリングした後でしかチェックできないので、その微調整でいちいちまたレンダリングし直していては非効率です。

そこでAfterEffectsで被写界深度を調整するやり方を試してみたのですが、

  • 奥の景色と同化するような複雑な被写界深度ができない
  • EXRファイルを読み込む際にカラースペースが微妙に変わったりする
  • 背景のHDRIが白飛びする

と、あまり意図した絵になりませんでした。

これは正しいやり方かはわかりませんが、「Arnoldで被写界深度を一部つけすぎたのを修正する」程度なら【Photoshopでボケありボケなしを重ねてマスク】もありじゃないかというのが素人の意見です。

 

あと、絵として臨場感を出すために、色収差という手法で若干の手ぶれ感を出しています。

 

反省点とこれから

強くしすぎたコンポジット

デジハリのクラス内講評会でクラスメイトや先生からいただいた意見だけでなく、隣のクラスの生徒さんや先生をも捕まえフィードバックをかき集めて回りました。

細かな修正点は山ほどありますが、次の制作に生かすような反省点をひとつ挙げるなら、ポリゴン数やUV展開のレイアウトまで考えが及ばなかったというところです。

今後その辺りを重点的に勉強し、そこで学んだことを次の制作以降意識して取り組んでいきたいと思います。

おわりに

ご覧いただきありがとうございました!

独学ではできないような意見交換を積極的にしていきたいですね。

ではまた。

 

 

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